11月の定例会まとめ/ニュースの目(30)アメリカの株価はバブルか?
石川直子です。
ようやく11月の内容をまとめました。
毎回、定例会翌日までのアップを目指しているにもかかわらず、このありさまです。。。
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13/11/23『ニュースの目(30)』―日本経済新聞10月17日~11月20日朝・夕刊より抜粋
ダウ工業30種は史上最高値の更新続き
- ニューヨーク・ダウは11月8~11日に続き、13~18日と2営業日、4営業日ベースで、連続して史上最高値を更新した。
- ニューヨーク時間13日、イエレン次期FRB議長が、議会公聴会で『長期的で強力な金融緩和の必要性』を強調、アメリカの『金融緩和の出口』についても「特定の時期は決めていない」と発言したのが大きなきっかけとなった。
- ファンダメンタルズでも、7~9月のGDP成長率は2.8%(速報値)増と、市場予想の1.9%前後を上回っている。
- ただ、強気一辺倒ばかりではない。
①アメリカ地方銀行は、“企業は融資を増やせるほど強くはないし、景気回復を支えて
きた住宅投資にも鈍化の気配が出てきた”(10/30夕 ウォール街ラウンドアップ)
②二大投資家のフィンク氏“極端な緩和策を放置し続ければ市場でバブルが発生する”、
ダリオ氏は“上値余地は限られている”と警戒(11/13夕 ウォール街ラウンドアップ)
☛ただし、どういう意図で発言しているかはわからない。
③“FRBの資産は買取継続にはすでに限界に近く、デリバティブや社債などの
信用バブルも問題”(10/24夕「ウォール街ラウンドアップ」)
<参考>コモン・エクスポージャー
多くの投資家の行動が共通したものである時、思わぬ『増幅効果』をもたらす。
日経平均も11月19日には、一時16,000円台乗せ
- 中身は外国人投資家、先物主導の相場(11/14)
トピックス
- 非課税の私的年金 創設(11/9)
☛NISAは何だったのか??
『日本の国債』はどうなるのか
1)日本の『公的債務』は増加の一途
a)最大の増加の理由は『高齢化のスピード>経済成長率』による『社会保障費』の
継続的増大。
(注)2020年頃には労働者1人が65歳以上の高齢者1人を支える予想。
⇒『消費税』を2014年5%→8%、2015年8%→10%に引き上げ予定。
ただし、当面の「止血剤」に過ぎないと云う見方が多い。
⇒『消費税1%』の財源増は2.5兆円と予想されている。今後10年間で
『社会保障費』約10兆円、『国債利払費』約9兆円の増加が予想されている。
b)アトランタ連銀ブラウン氏とカリフォルニア大学ジョーンズ教授の推計
シナリオ1:社会保障費1兆円増を放置し、2017年に消費税を一挙に引き上げる
場合の必要消費税率33%
シナリオ2:増税を2017年から2022年に5年間遅らせた場合の必要消費税率37.5%
(1年遅らせるごとに消費税は1%上昇)
シナリオ3:2%のインフレが実現し2017年の消費税を上げる場合、
必要消費税率は25.5%
◆提案された『包括的改革プラン』
イ)2%のインフレ率を実現する
ロ)高齢者の医療費窓口負担を2割とする
ハ)年金給付は現役世代年収の半額保証を外す
二)政府の経常経費を1%削減する
⇒それでも『最終消費税率』は32%必要
2)日本で『国債金利』が上がらない(価格が下がらない)のはなぜか?
- 公的債務が増加すると『デフォルト・リスク』が高まり、『金利』が上昇するのが一般的である。『公的債務(国債残高)/GDP』比率は、『リスク・プレミアム』の決定要因の一つである。
- 日本で『金利』が上がらないのは、一般的には以下の理由が挙げられている。
①日本国債の92%は国内で消化されている(『コモン・エクスポージャー』に
注意が必要である)
②日本の『消費税率』は国際的に低く、増税の余地がある
③国の資産がある(国のB/Sは2011年末で『負債(うち公債)1,082(791)兆円』
『資産629兆円』)
④高齢化と人口減少が進む国は『経済成長』が低水準となり、したがって『金利』も
上がらない
(注)『ロゴフ仮説』
政府債務のGDP比がベキ値90%を上回れば、経済成長率は大きく低下する。
3)『政府債務(国債)』が発散するかどうかの検証法
- 『政府債務(国債)』が返済不可能になるかどうかの検証方法に絶対的なものはないが、以下の計算式がよく用いられる。
基礎的財政収支黒字の対GDP比 ≧ 政府純債務の対GDP比 ×(国債利回り-経済成長率)
◆具体例
①ギリシャの場合
政府純債務の対GDP比・・・・約130%
国債利回り ・・・・20%
経済成長率 ・・・・1%
上式から 130% ×(20%-1%)=24.7%
⇒基礎的財政収支黒字の対GDP比25%を上回る必要があった。
②日本の場合(2013年)
政府純債務の対GDP比・・・・144.3%(含む地方債務)
国債利回り ・・・・ 0.79%
経済成長率 ・・・・ 0.4%
上式から 144.3% ×(0.79%-0.4%)=0.563%
⇒基礎的財政収支黒字の対GDP比0.59%にする必要がある。
- 『計算式』から明らかなように、『経済成長率』が『国債利回り(長期金利)』を上回ることが重要となる。
<参考>2013年8月末の政府試算
『地方債務』を含めた『基礎的財政収支の対GDP比』は
2010年度 -6.7%(国だけだと7.6%)
2015年度 -2.6~-3.2%
2020年度 -1.4~-2.8%
になると試算している。
4)日本の『出口戦略』をどうするのか?
- 『出口戦略』としては、以下の2つが考えられる。
①『準備預金』の『金利』を引き上げる。
②『国債』の『売りオペレーション』
⇒どちらも『金利上昇』を招いてしまう。
- 日銀の2013年4月の決定は・・・
マネタリーベース 2013年末 200兆円(うち長期国債 140兆円)
2014年末 270兆円(うち長期国債 190兆円)
買いオペレーション 年約50兆円に相当する量を買い入れる予定
↓ ↓ ↓
計画通りだと、日銀の『長期国債保有量』は2012年末の89兆円が
2013年末 140兆円、2014年末 190兆円になる計算
↓ ↓ ↓
予定通り実行しないと
・『長期国債』の価格下落(長期金利の上昇)
予定通り実行すると
・『出口戦略』が極めて難しくなる
- 政府の重要な役割は、こうした実情を国民に説明(まず、『国家ビジョン』を明確にすること)することである。
<参考①>公債残高の推移(国税庁ホームページ)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/hatten/img/ill10_02.jpg
<参考②>基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の推移(財務省ホームページ)
以上