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ミライカケイ

LFP研究会メンバーがライフプランを軸足に綴る研究日誌(旧ブログ→http://lfp.jugem.jp/)

6月の定例会まとめ/経済学史のABC②

経済学史のABC

 

3)主要経済学者の思想と理論 

アダム・スミス(1723~1790年)

・イギリスの経済学者で『古典派経済学(自由主義経済学)』の創始者。

・主著は『道徳感情論』(1759年)、『諸国民の富(国富論)』(1776年)

・主著の概要

国富論』・・・人々の生活が豊かになるためには、まず『国』を富ませることが先決。そのためには政府による『市場』への規制を緩和・廃止することにより、一国の経済効率を向上させ、高い成長率を実現することで、豊かで強い国を作ることができる。また、『労働価値説』を主張した。

『道徳感情論』…社会秩序を基礎づけるのは人間の『同感』で、「行為者」は

a)適切で「行為」を受け入れる人の自然の感情が『感謝』である場合、その「行為」は報奨に値する。

b)a)以外の「行為」は処罰に値する。

・『競争』の起源について

人間は、他人の『悲哀』に対してより『歓喜』に対して『同感』することを好む。

『富』は見る者に歓喜を、『貧困』は悲哀を与えるので、人々は他人から『同感』されるため、『富』を求め、『貧困』を避けようとする。

・<一口話題>『見えざる手』

国富論』では一回しか使われていない。『利己心』に基づく個人の経済活動を、社会全体の経済利益につなげる「自動調整メカニズム」がある、と考えた。しかし、個人の『利己心』を重視したわけではなく、『道徳感情論』では社会の『同感』が得られる『利己心』を求めた。慎重さと謙虚さおよび公平さをもって自国の経済運営に臨まなくてはならない、とした。

 

●T.R.マルサス(1766~1834年

・イギリスの経済学者。人口論とともに貧困問題にも取り組んだ。

・主著は『人口論』(1798年)

・主著の概要

 『人口論』・・・制限するものが無い場合、人口の増加率は食糧生産の増加率を上回るが、現実の人口は食糧生産で維持可能な範囲内に抑えられる。これは『人口抑制』が行われるからだが、それにはa)悪徳的手段(結婚の延期・回避、病気、事故等)とb)道徳的手段(悪徳を伴わない結婚の延期・回避等)がある。『食糧問題』を解決するには『救貧法』の廃止、庶民教育の確立、労働者のある程度の政治参加が必要、とした。また、不況時には公共事業への失業者の雇用等は短期的な解決策として有効である、と主張した。⇒ケインズの『有効需要説』の先駆者ともいわれる。

・<一口話題>『ウサギとカメのたとえ』

人口は制限されないと『等比級数(増加率が一定)』的に増加するのに、食糧生産は『等差級数(増加量が一定)』的にしか増えないので、『貧困の拡大』は不可避になる。これを、『人口』をウサギ、『食糧生産』をカメに例えた教材もある。

 

●D.リカード(1772~1823年)

・イギリス『古典派経済学』の完成者。

・主著は『経済学および課税の原理』(1817年)

・主著の概要

 『経済学~』…『労働価値説』を基本に、生産された『価値』が三階級(資本家、地主、労働者)にどのように『分配』されるかを論じた。

そのポイントの一つが『差額地代説』。この説は、資本と人口の増加に伴い、穀物需要は増加。この需要を満たすために生産性の低い「劣等耕作地」まで耕作。その結果、「穀物価格」は高騰、「労働価値」も騰貴し、「地代」は増加するが「利潤率」は低下。したがって、「穀物輸入」が自由化されないと「資本」の蓄積は終焉する。

各国は自国で得意な産業を専門化して『輸出』し、不得意な産業の商品を輸入する。そうすれば、世界全体の経済水準が上がり、双方の利益にかなうことになる。⇒『比較生産費論』

・リカードは、経済政策として「穀物法の廃止」、「救貧法の漸次的撤廃」、「蓄積を妨げない課税制度の採用」、「国立銀行による銀行券発券ルールの確立」、「公社債の減少」を主張した。

・<一口話題>

彼は『穀物法』に反対、「穀物」についても『自由貿易』を主張して、マルサスと激しい論争を展開した。

 

●K.マルクス(1818~1883年)

・ドイツの経済学者。エンゲルスと盟友。

・主著は『資本論三巻』(1867~1894年)、『共産党宣言』(1848年)

・主著の概要

 『資本論』・・・『労働価値説』と『余剰価値説』を基本に、『資本主義』を批判した。

そのポイントは、『資本主義』の発展は搾取によって『労働者階級』を貧困化させる一方、『資本家』は「蓄積」と「集中」を通じて『余剰』を増大させていく。こうした『資本主義の矛盾』は次第に激化し、結局『資本主義』は崩壊し、『社会主義』に移行していく。

・<参考>『余剰価値説』

『価値』と『価格』を区分、『価格』は需給関係によって変動する。一方、『価値』は『労働価値説』を基本にしており、『価値』と『価格』は常には一致しない。

 しかし、必要なモノを必要なだけ生産していたら『余剰価値』は生まれず、経済的な不平等も発生しないが、現実には必要以上のモノが生産される結果『余剰価値』が発生、『余剰価値』を搾取する『資本家』と搾取される『労働者』という「二大階級」が発生することになる。

・<一口話題>マルクスの『唯物史観』

この社会では土台(「下部構造」)をなすのは『生産関係』であり、その上に法律、社会、学問、芸術などの「上部構造」がある。「上部構造」は「下部構造」に規定され、「下部構造」が変化すると「上部構造」も変化する。これが『革命』である。

「下部構造」は今後も変化するのは必然であり、したがって『資本主義』から『社会主義』への移行も必然である。

 

●J.S.ミル(1806~1873年)

・イギリスの経済学者で哲学者

・主著は『経済学原理』(1848年)

・「哲学」ではベンサムの『功利主義』を継承、発展させた。

・主著の概要

 『経済学原理』…人間は『生産の法則』を変えることはできないが、『分配』は人間の意思で変えられると考え、『公平な分配』の実現について論じた。

リカードは、『生産』と『分配』は一体不可分と考えていたが、ミルは『分配法則』は人為的に左右されると主張した。

ミルのユニークさは、『競争の欠如』は物質面の退化だけでなく、「人間の生来の怠慢」、「内向的性格」、「先例に囚われる傾向」を助長し、精神面の退化をもたらすことも強調した。

また、『自由論』(1859年)を著し、他人の『自由』を尊重し、自らの『個性』を鍛えることを『個人』に求め、『個人』の真の『多様性』の中に社会の進歩を見ようとした。

・<一口話題>『功利論』

イギリスの思想家ベンサム(1748~1832年)が提唱した思想で、「道徳」や「法」が正しいかどうかの基準は、それが「快楽」を増し、「苦痛』」減少させるかどうかによる、とした。     ⇒『最大多数の最大幸福』

 

●A.マーシャル(1842~1924年)

・イギリスの経済学者で『新古典派経済』の創始者。

・主著は『経済学原理』(1890年)

・主著の概要

『経済学原理』…『価格』と『取引量』は、『需要曲線』と『供給曲線』の交点で決まる、とする『市場的均衡の理論』を進化・発展させた。

また、『生産(供給)の調整時間』は『一時』、『短期』、『長期』、『超長期』の区分が必要だとした。

主著は、第二次産業革命の大不況期(1873~1896年)に出版されたもので、『市場は良いものだ』という認識が再考されていた。マーシャルは、『良い取引』とは自分だけ潤うのではなく、取引相手も同じく潤してくれるもの、とした。

 ⇒望ましい『市場』は『利他的な市場』

・<一口話題>『公正性の基準』の『価格』

         ・A.スミス・・・『自然価格(売り手が販売しても良いと思える最低価格)』

    ・A.マーシャル…スミスの理論を発展させ『正常価格(取引に実際に従事する「売り手」と「買い           手」が個々に決めるものではなく、両者の交渉によって決まる価格)』とし、            『独占』は『公正』ではない、と主張した。

 

●J.M.ケインズ(1883~1946年)

・イギリスの経済学者かつ実務家(財務省の官僚)

・主著は『貨幣論』(1930年)、『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)

・主著の概要

   『一般理論』・・・『失業』の原因は『有効需要(実際の支出を伴う需要)』の不足にあり、『完全雇用(働きたい者が全員雇用されている状態)』を実現するには、政府が『公共投資』をして、『有効需要』を創出する必要がある。⇒『古典派経済学』に対する批判

また、『自由放任主義』をも批判し、本質的に不安定な『資本主義』は『政府』が適切に管理することを主張。その手段としてa)『有効需要』の管理、b)『不況期の財政拡張』を主張した。⇒『大きな政府

ただし、これらの管理は一国レベルではなく国際レベルのものが必要で、そのため『国際機関』の設立を提唱した。⇒『ブレトン・ウッズ会議』

・二度の世界大戦で、『自由貿易論』に対して、以下のような点に懸念を持たれるようになった。

・極端な経済変動に人間は耐えられない。

・極端な『自由放任』で経済が激変すれば、やがて極端な『保護主義』が生まれ、『帝国主義』につながってくる。

         ↓↓

アメリカ主導の極端な『金融自由化』でこの懸念が生じている

<参考>アメリカの代表的な『ケインジアン

    ポール.A.サミュエルソン、ジョン・K.ガルブレイス

    ハイマン.A.ミンスキー等

・<一口話題>ケインズと『証券投資』

1919年に「財務省」を離れてからは、正式な公職につくことはなく、『投資や投機』を続け、一時はかなりの損失を出していたが、1946年に亡くなった時は20億円ほどの資産を保有していたといわれる。その大部分が『投資や投機』によるものだ、といわれている。

 

●M.フリードマン(1912~2006年)

・アメリカの経済学者。『新自由主義』、『マネタリズム』のリーダー。

・主著は『資本主義と自由』(1962年)、『選択の自由』(1980年)

・主著の概要

 『資本主義と自由』…『市場経済』における自由な経済活動の重要性を強調、『小さな政府』の復活を主張、ケインズの『大きな政府』と対立した。1970年代に『ケインズ経済学』が『スタグフレーション』の対策に行き詰まり、注目された。

二つの大戦後の恐慌は、生産や貿易など『非貨幣的』な変化が主因ではなく、『貨幣的な要因』が中心的役割を果たしている、とした。⇒『マネタリズム』の発想

・彼の主張は、『政府』には今後、成長する分野の目利きをする『能力』など期待できない。『規制改革』や『法人税減税』など、民間の自由な経済を促すことこそが『成長戦略』である。また、一般に良いと思われている『公的年金制度』、『公営住宅』、『公営有料道路』、『農産物の買取保証制度』などにも批判的で、政府が『正義と平等』を求めることにも疑義をもった。これは『政府の過剰な介入』が結果的に政策目標の実現を阻む皮肉な結果につながることを危険視したからである。

・<一口話題>フリードマンの『金銭感覚』

フリードマンはユダヤ系移民の子で、小さい時から『お金』には苦労した。父には定職がなく、「仲買人」などをしており、投機にも手を染めたが儲けたためしはない、といわれる。

彼も、1965年にポンドの空売りをしようとしたが、シカゴ市内の銀行に拒否され憤慨した、というエピソードが語られている。  

 

                                        以上